19世紀半ばに誕生した女性のカジュアルズボンです
私が所有するブルマーは、1910年代につくられたアメリカ製。
日本でイメージする昭和の短いブルマーは、日本独自のもの。
日本でイメージする昭和の短いブルマーは、日本独自のもの。
本来のブルマーは丈も長く、非常にかわいいデザインなのです。
前面には8本のタック、後には4本のタックが折られます。
装飾性と機能性を両立した素晴らしいデザインです。
装飾性と機能性を両立した素晴らしいデザインです。
1894年の広告
ブルマーを履いた女性が自転車にまたがる
ブルマー×自転車は、当時定番の組み合わせでした。
ブルマー×自転車は、当時定番の組み合わせでした。
右図、Wはウエストぐるり一周の寸法。
Lはレングスで、ベルトから裾のタブまでの全長です。
Lはレングスで、ベルトから裾のタブまでの全長です。
ウエストにゴムを入れればマイナス10~15cmまで対応できます。
当時のブルマーもゴムが入っているので、ゴムを入れてカジュアル仕様でつくるのがオススメですよ。
当時のブルマーもゴムが入っているので、ゴムを入れてカジュアル仕様でつくるのがオススメですよ。
また、タックのデザインが秀逸なので、どんな体型の人にもフィットします。
太ももやお尻の体型を上手くカバーする設計です。
太ももやお尻の体型を上手くカバーする設計です。
サイズ選びで迷った時は、問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
それでは、製作した実物と共に【ブルマーの魅力】を紹介していきます
くすんだサックスブルーの生地で製作。
厚みはなく薄めですが、ハリとコシのあるオリジナルウール生地でつくってみました。
テロテロとしたダレる生地よりは、薄くてもハリやコシのある生地でつくった方がブルマーのデザインを活かせると思います。
フロントには計8本のタックが入ります。
このタック、位置によって明確に分量が変えてありました。
中心のタックだけが大きく折られて、外側のタックは小さく折られています。
そのため、ふんわりと太ももを包み込んで、上手く体型をカバーしてくれるのです。
後ろは大きなタックが計4本です。
どれも中心よりに折られており、ちょうどお尻の膨らみをカバーする位置です。
前後で巧みにタックを調整して、脚を美しく魅せようとしているのが伝わってきます。
19世紀において、女性が脚を露出するのはNGでした。
当初ブルマーは、中々受け入れられない時期がありましたが、このような努力の結果が19世紀末のブルマーの普及に繋がったのでしょう。
前後で巧みにタックを調整して、脚を美しく魅せようとしているのが伝わってきます。
19世紀において、女性が脚を露出するのはNGでした。
当初ブルマーは、中々受け入れられない時期がありましたが、このような努力の結果が19世紀末のブルマーの普及に繋がったのでしょう。
後ろウエストには、ゴムが入ります。
屈んだりすると、ちょうどこの部分が身体から離れて、下着が見えてしまうことがありますよね。
恐らく、そのような状況を防ぐためにゴムが入れられたと推測できます。
もちろんお好みで、ウエスト全体にゴムを入れてもいいでしょう。
または、紐を通して前で結んでも格好良くなりそうですね。
裾はタックではなく、ギャザー始末になっています。
脇にはスリットが設けられ、タブで固定できるようになっています。
脚が覗く部分は、非常にエレガントな仕立てになっている印象を受けます。
機能的な特徴は、なんと言っても股下の「長いマチ」でしょう。
このブルマーは、股の部分に縫い目がないんです。
縫い目がないので、自転車のサドルにまたがったとしても、股に違和感を感じづらいでしょう。
同時に、脚を動かすための運動量としても大きく貢献しています。
見えないところにもデザインが行き届いていますね。
イラストを見るだけでは分からなかった、こだわりの仕立てが随所に発見できました。
当時のブルマーを考えた方に拍手を送りたいです。
左脇には、着脱用のスリットが開いています。
貝釦をつかって、アクセントにしてみました。
貝釦をつかって、アクセントにしてみました。
そして、右脇には縫い目を利用してポケットをつくってみました。
オリジナルには付いていませんでしたが、やはりポケットがあると便利ですのでつくってみました。
オリジナルには付いていませんでしたが、やはりポケットがあると便利ですのでつくってみました。
それでは、ここから実物の【ブルマー】を紹介していきます。
Le Chalet du Cycle, Jean Beraud, 1895 |
フランスの画家ジャン・ベローが描いた自転車に跨る婦人たち。
そのほとんどがブルマーを着用しています。
そのほとんどがブルマーを着用しています。
非常にスタイリッシュでエレガントな着こなしです。
現代において、こんな格好で自転車に乗ったら、注目の的ですね。
現代において、こんな格好で自転車に乗ったら、注目の的ですね。
オリジナルのブルマーは、シャリ感のあるモヘアウール生地。
薄手ですが、ハリとコシがあります。
薄手ですが、ハリとコシがあります。
裾のタブには、独特なかたちをした金具が付いています。
金具には1914年11月24日の特許取得の刻印が押されています。
金具には1914年11月24日の特許取得の刻印が押されています。
股下のマチ
縫い目がなく、長くて大きなマチが、ブルマーの快適な着心地の要になっています。
そして、ブルマー普及の立役者といえば、女性初の自転車世界一周を成し遂げた「アニー・ロンドンデリー」です。
彼女はブルマーを履いて自転車にまたがり、1894年から95年に世界を旅しました
彼女の活躍もあって、ブルマーは20世紀初頭まで、女性の新たなカジュアルウェアとして流行したのです。
ブルマーを履く女性
FIDM Museum 1895 |
こちらはFIDM Museumが所蔵する1895年のサイクリングスーツです。
全身花柄!
いったいどんな方が着ていたのでしょうか。気になります。
もちろんブルマーを履いています。
全身花柄!
いったいどんな方が着ていたのでしょうか。気になります。
もちろんブルマーを履いています。
ぜひ、皆さんも100年以上前のブルマーをつくってみてください。
履きやすくてエレガントなズボンになっています。
履きやすくてエレガントなズボンになっています。